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イベントレポート:2025年のCIC Fukuokaオープンに先駆け、グローバルで活動するVenture Caféが一足早く福岡で活動開始

April 2, 2024

- 2月にFGNで開催されたプレオープニングイベント”The Showcase"、各地から定員以上のゲストが集まり大盛況に -

東京では多様なスタートアップの拠点やエコシステムアクターが年々増えており、中でもグローバルにキーパーソンを繋いでいるのが「CIC」と「Venture Café」だ。東京では虎ノ門に拠点を置くこの2組織が、今度は福岡に進出する。

2025年春、西日本鉄道株式会社とCICで開業予定の新福岡ビル内に、新イノベーションキャンパス「(仮称)CIC Fukuoka」がオープンする。

(関連)CICの新イノベーションキャンパス「(仮称)CIC Fukuoka」が 2025年春(仮称)新福岡ビル内に開設決定

CICの新イノベーションキャンパス「(仮称)CIC Fukuoka」が 2025年春(仮称)新福岡ビル内に開設決定

CICの姉妹組織でもあり、イノベーションを加速する多様なプログラムを提供するVenture Caféでは、CIC Fukuokaのオープンに先立ち、Venture Café Fukuokaを立ち上げ今秋より新福岡ビルでプログラムを事前に開始する。東京では現在、THURSDAY GATHERINGと呼ばれるイベントが毎週木曜に行われているが、福岡でも同じ頻度でイベントが開催される予定だ。数ある国内のVenture Caféの中でも、THURSDAY GATHERINGが開催される拠点は2つ目となる。

2024年2月13日には、天神にある、福岡市が運営するスタートアップ支援施設のFGN(Fukuoka Growth Next、通称FGN)にて、東京や他都市の主要メンバーを集めたプレイベントが行われた。

このレポートでは、そのプレオープニングイベント、「The Showcase – Introducing a global Innovation Movement – 」の模様をお届けする。

### 「The Showcase」の概要

(イベント参加者たちの集合写真。会場は満員で廊下まで立ち見がでるほど。)

・イベント名:The Showcase – Introducing a global Innovation Movement –

・開催日時:2024年2月13日(火)5:30pm-8:30pm

・開催形式:現地とオンライン配信のハイブリッド

・現地会場:Fukuoka Growth Nextイベントスペース

・言語:日本語、一部英語併用

・タイムスケジュール:下記参照

5:20pm|開場

5:30pm – 5:35pm | OPENING

・MC:小村 隆祐 氏(Venture Café Tokyo Executive Director)

・Dancer:Chikako Fujii氏

・Music:Nick Luscombe氏

5:35pm – 5:50pm|Greetings from VIPs

・林田 浩一 氏(西日本鉄道株式会社 代表取締役社長執行役員)

・服部 誠太郎 氏(福岡県知事)

・高島 宗一郎 氏(福岡市長) <ビデオメッセージ>

・Chuka Asike 氏(在福岡米国領事館 首席領事)

5:55pm – 6:15pm | Welcome to Venture Café Global Movement!

・Kristen Plymale氏(Venture Café Global Institute)

・小村 隆祐 氏(Venture Café Tokyo Executive Director)

6:20pm – 7:30pm | Panel Session: Igniting an innovation movement in Fukuoka!

・堀 ナナ 氏 (Tensor Energy ファウンダー/共同代表)

・山上 理貴 氏(株式会社理貴の趣味部屋 CEO / 九州大学経済学部3年)

・山口 泰久 氏(株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズ 取締役副社長)

・石丸 修平 氏(Fukuoka D.C. 事務局長)

・梅澤 高明 氏(CIC Japan 会長 / A.T.カーニー 日本法人 会長)

・鈴木 聡子 氏(ForStartups, Inc. タレントエージェンシー本部 専門役員)

7:30pm – 8:30pm|Networking/ネットワーキング

### 会場は福岡のエコシステムをリードするFGN

(校舎を利用して運営されているFGNの屋内。学校の雰囲気の良さをそのまま残している)

FGNは、福岡県の中心地となる天神駅から徒歩10分以内の大名エリアにある。福岡県は空港から都心へのアクセスが良いことでも有名だが、その都心からさらに徒歩圏となるこの施設、立地は抜群だ。

福岡市が中心となって運営する官民協働型の施設で、140年の歴史がある旧大名小学校の校舎を利用しているという。運営委員会は福岡地所、さくらインターネット、GMOペパボ、フォースタートアップスから構成され、スポンサーにも地元の著名企業が名を連ねる。

1階にはイベントスペースやスタートアップカフェ、福岡市雇用労働相談センター(FECC)、グローバルスタートアップセンターなどがあり、2・3階は個室型・シェア型のオフィスルームとなっていてスタートアップ各社が入居している。

The Showcaseでは、今後の更なるエコシステム発展に向けたVenture Café FukuokaとFGNのコラボレーションを見据えて、これまで福岡のスタートアップシーンをリードしてきたFGNが会場として選ばれた。

(人がひしめきあう店内)

当日はイベント会場とは少し離れたawabarがネットワーキング会場となり、ドリンクを待つ間や、店内の大きなカウンターで休む間に、多くの人たちが挨拶しあっていた。

### ダンス・パフォーマンスによる開幕

開幕時間になると、明かりが落とされたステージ前方にダンサーの藤井 千佳子

氏が現れ、パフォーマンスが始まった。音楽はNick Luscombe氏が担当した。

(福岡で何かが始まる予感を身体で表現する藤井氏)

いかにもVenture Caféらしいアーティスティックな開幕が終わると、MCを務めるVenture Café Tokyo Executive Directorの小村 隆祐が登場。

本イベントでは、グローバルイノベーションムーブメントであるVenture Caféを体感してもらうべく、福岡のみならず各地からゲストを招致。固いセレモニーではなく、福岡が、グローバルと日本を接続する架け橋になり、エコシステムを発展させていくきっかけとなるイベントにしたいと述べた。

### 関係各位 からの挨拶

続いて、福岡のスタートアップ・エコシステムを支えていく、主要プレイヤーからの挨拶が行われた。いずれも、福岡がアジアの中でも主要なスタートアップ・エコシステム拠点として成長し、スタートアップが巣立っていくことを期待するとし、改めてVenture Cafe Fukuokaの立ち上げを祝った。

<西日本鉄道株式会社・代表取締役社長執行役員|林田 浩一 氏>

CIC、Venture Caféについて解説した後、その影響力を福岡にも呼び込むべく、アジア2拠点目として新福岡ビルにCIC Fukuokaをオープンさせることになったと説明。同社が手がける福袋町区立て替えプロジェクトのコンセプトである「創造の交差点」の象徴となることを期待すると述べた。

来秋からはいよいよVenture Caféのプログラムが新福岡ビルでもスタートするが、一連のプロジェクト始動にあたり、この後挨拶を行う福岡県知事、福岡市市長、ならびに行政、民間各位と一丸となって進められたとし、福岡の絆の強さを感じられる挨拶となった。

<福岡県知事|服部 誠太郎氏>

実はCIC Tokyoにもオフィスを構えている福岡県庁。服部知事は、2023年10月に、米国大使館大使のサポートを受けつつマサチューセッツ州ボストンを訪れ、CIC本部でも福岡県のエコシステム発展に向けて会話したというエピソードを披露。福岡からスタートアップが生まれアジアに飛び出していってほしいという希望を改めて述べた。

<福岡市長|高島宗一郎氏(ビデオメッセージ)>

福岡市長の高島氏からはビデオメッセージが。元々、アジアのハブとして街が育ってきた福岡だが、現在ではなんと海外11か国・地域、15の拠点と連携。さらに10年前にはスタートアップ都市宣言を行い、FGNを中心にその輪が広がってきたという。そのコンセプトの延長として、CIC Fukuokaもアジアへの展開を見据えた拠点として育っていくことを期待されていると説明。改めて福岡関係者一丸となって本プロジェクトを推進していくと決意表明を行った。

<在福岡米国領事館 首席領事|Chuka Asike 氏>

Ashike氏は、2023年10月に服部知事がボストンを訪問し、福岡県米国領事館のエキスパートでマサチューセッツ州知事と経済対話を行ったことで、本件がブーストされたと説明。外国人投資家にとって魅力的なエントリーポイントになること、米国への進出を目指す九州のスタートアップの出発拠点になることを福岡は期待されているとした。

米国と九州の間では、バイオテクノロジー、Fintech、半導体、再生可能エネルギーといった分野を中心に、関係が拡大していく予定。1874年に、日本人で初めてマサチューセッツ工科大(MIT)を卒業した前田一郎氏は福岡出身。同氏は土木工学部の学位を納め、日本の鉄道の発展に貢献したという。このようにイノベーターが複数、福岡から生まれ、引き続き発展していくことを期待すると述べた。

### Welcome to Venture Café Global Movement!

(世界で同時多発的に交流会を開催しているVenture Caféから、グローバルの担当者が来日)

Venture Café Global InstituteのKristen Plymale氏を迎えた本セッションでは、改めてVenture Caféとは何か、これから何を福岡で仕掛けていきたいかについて語られた。

Venture Caféは、2009年にボストンでたった12人が参加するギャザリングとして始まって以降、米国、欧州、アジアの13都市で展開するまでに拡大。現在では70万人以上がコミュニティに参加している。

その方程式は実にシンプル。「孤独」がイノベーションの敵であると捉え、人と人を繋げることで何かを起こすことをミッションにしていると説明。実際に、人脈が多い創業者はより高い売上、より大きなソーシャルインパクトを目指そうとする、というリサーチもあるそうだ。

事例として、Venture Café Phoenixで起こった、医師とタトゥーアーティストがコラボレーションした件を紹介。手術時、医師は手術箇所にタトゥーを使うことがあるが、結腸には色素がなかなか定着しないという課題がある。この時、タトゥーアーティストが保有するタトゥーの素材が使えるということになり、この二人は一緒に会社を起こしてビジネスを始めたそうだ。

このようなセレンディピティに溢れる出会いを生み出すにあたっては、Venture Caféでは「ハードセールスはしない」といった、カジュアルな交流を促すためのいくつかのクレドがあるそうだ。また、THURSDAY GATHERINGとはただのイベントではなく、当日も座学だけでなく、Networkingにも大きな価値があるのだと解説。Venture Cafeとの関わり方は、参加者、登壇者、会場提供、スポンサーなどさまざまあるので、今後も多くの方に、このムーブメントに参加してほしいと伝えた。

### Igniting an innovation movement in Fukuoka!

(パネルディスカッションに参加した面々。右から梅澤氏、石丸氏、山口氏、堀氏、山上氏、鈴木氏、小村氏)

実際に福岡で活動するメンバーを交えてのパネルセッションには、以下の方々が参加。

・堀 ナナ 氏 (Tensor Energy ファウンダー/共同代表)

・山上 理貴 氏(株式会社理貴の趣味部屋 CEO / 九州大学経済学部3年)

・山口 泰久 氏(株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズ 取締役副社長)

・石丸 修平 氏(福岡地域戦略推進協議会(FDC) 事務局長)

・梅澤 高明 氏(CIC Japan 会長 / A.T.カーニー 日本法人 会長)

モデレータは、ForStartups, Inc.・タレントエージェンシー本部専門役員の鈴木 聡子氏が務めた。冒頭の挨拶では各自が自己紹介と福岡への期待についてコメント。CICの会長を務める梅澤氏は、長らく進出したいと考えていた福岡にとうとう拠点を構えられる喜びと感謝を述べた。FFG山口氏からは福岡からユニコーン輩出をする目標について触れ、同日に投資先のQPS研究所が時価総額1,000億円を超えたことを報告した。

Tensor Energy社からは代表の堀氏が登壇。FGNにも入居しているスタートアップで、「テクノロジーとパートーシップで持続可能なエネルギーの未来を創る」をミッションとして2021年に設立。発電事業者向けに、再生可能エネルギー発電資産の運用・管理を最適化するソフトウェアプラットフォームを提供している。九州経済産業局が選定する「J-Startup KYUSHU」にも選ばれている。代表の堀氏は元々は東京の出身だが、福岡に魅力を感じ拠点を移したそうだ。

学生枠では、九州大学3年生で、”魅力を価値に変換し伝える”創作中の学問、魅力価値工学をもとに株式会社理貴の趣味部屋を立ち上げた、山上氏が登壇。

## 福岡の現在地とネクストステップ

まず、福岡の現状はどうなっているのだろうか。

山口氏は、九州・大学発ベンチャー振興会議の事例を紹介。同団体は、2017年2月に設立され、九州の大学、企業、銀行、ベンチャーキャピタル、経済団体をつなぐプラットフォームとして、大学発ベンチャー創出のため、ギャップ資金やアントレプレナーシップ教育の提供などを行い、エコシステムを構築している。民間企業から大学へは、寄付金も拠出しているそうだ。一方でこの取り組みは、当時、九州以外に波及していなかった。大学間のエコシステム推進にあたって、九州大学の高田教授と連携し、技術の商業化のプログラムができ、今では九州の18大学が連携するPARKSというプラットフォームで、文部科学省の支援を受けながらDeeptech育成を行っているという。前述のQPS研究所もその支援先の一つだそうだ。

Tensor Energyもその波に続くスタートアップになってほしいというのが支援者側の思いであるが、次なる課題としてはグローバル連携が挙げられるという。その課題解決として期待されるのがCIC Fukuokaになるわけだが、なぜこのタイミングでのオープンに至ったのか。

梅澤氏曰く、CIC自体はグローバル、ダイバーシティ、グローバルという3つのキーワードを掲げている。2022年に岸田政権がスタートアップ5ヵ年計画を掲げ、日本のスタートアップエコシステムを10倍の規模に拡大することが発表されたわけだが、そのためには多様な業種から、高いバリュエーションを目指してグローバルにも進出していけるスタートアップを育てる必要がある。Ashike氏が前述した通り、九州にはDeeptech育成の土壌があり、海外にも出て行きやすい環境が整っていることから、タイミングとしても立地としても、適切と判断したという。

それでは実際に起業している側はどう感じているのか。2021年に法人を設立し、現在はFGNに入居しているTensor Enegy。やがてFGNから卒業しなければいけないというプレッシャーがある中で次の戦略を考える日々だと話す堀氏。現在はリモートワーク中心だが、これから対面で集まるメンバーを増やそうとする中で、海外を含めメンバーを見つけやすいフィジカルなコミュニティが増えるのはありがたいと語る。同じく起業している山上氏は、福岡には面白い人材が多いが点在しているため、集約する場があると効率的になると言う。スタートアップの中には大企業とのオープンイノベーションも必要な企業も少なくない中、出会いがビジネスを加速していく形だ。

福岡の魅力については、スタートアップ振興を街作りの一環と捉えていることに特徴があると石丸氏。更に、変化を楽しむ素養があることが、ポテンシャルに繋がっていると鈴木氏。実際、福岡はアジアのゲートウェイであり、東京に行くよりも海外へ出たいと感じる人も少なくないだろう。梅澤氏は、CIC Fukuokaは、日本だけでなくアジアのハブになってほしい、と語る。FFGが金融を牽引し、他には半導体、バイオ、そして水産業や農業など、エリアごとに得意とする領域がある九州。CICのボストン拠点でもDeeptechが得意であり、CICのコミュニティを通じて福岡はますます成長していきそうだ。それを予感させる、まさにShowcaseなセッションとなった。

### 同日開催のTechstarsキックオフイベントとも接続

同日には、米国で著名なアクセラレーターであるTechstarsが、2024年夏の日本進出に向けて、説明を含むキックオフイベントを東京で開催しており、200名が参加していた。

グローバルで活動するアクセラレータのうち、日本にも進出している組織として有名なのは、Plug and Playや500 Globalなどだが、Techstarsもそれに仲間入りすることとなる。

The showcaseでも、日本とグローバルのさらなるシナジーを祝って、オンラインで東京の会場と接続してお互いの盛況を確かめ合った。

### いよいよ盛り上がる福岡、ぜひ訪れて

Venture Café Fukuokaの熱気、お分かりいただけただろうか。拠点、コミュニティ、アクセラレータープログラムと非常に充実した土地で、さまざまな可能性が生まれてきそうだ。

全国からキープレイヤーたちが一同に会した夜。この熱さが続いていくならば、福岡には多くの支援が集まり、そして多数のスタートアップが生まれていくだろう。

まだ行ったことがない方は、ぜひVenture Café FukuokaのTHURSTDAY GATHERINGへご参加を。

イベントは下記のリンクからチェックできる。

Thursday Gathering

AUTHOR
野中 瑛里子
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